「壊れろっ……おらッ」
マナは敵愾心剥き出しに攻めかかる。疾く、激しく。弱くも堅牢な最奥を目掛け、抜き差しを繰り返した。臓腑を抉るような軌道で、暴力的に。受容器は呻くように閉じ、だが咽び泣くように開く。どれだけ突き上げても、その底は、なお見えない。
「あ〜ッ、中っ、攪拌されて……っ」
濡れ激ったT4-2の泥濘がぐちゅり、ぐちゅりと泡立ち、淫音を奏でる。吹きこぼれる欲液がぬらぬらとシーツを伝い、淫辱の証として色濃く滲む。
「ほら、もっと喚きな。貸切なんだからさ」ずしり、と音がしそうなほど、肉鎚を奥へ叩き込む。教育的指導に従い、絶頂騒音が見事に撒き散らされる。
「ぃ゛お゛ッ……い゛ぐ、ん゛ぉ――ッ!」腰で会陰を叩き潰す野蛮な衝撃が、声を弾ませる。「お゛ッ、お゛ッ、ほぉ゛ッ、杭打ちッ、ぎもぢい゛ッ゛ッ、お゛〜ッ」
無遠慮で破廉恥、そして不埒な大声が、熱のこもった室内に反響する。腹の奥まで響いてくる重低音。マナに極めて従順なのは、宇宙広しといえどこの男だけ。そう思うと、マナの興奮がいや増しに高まる。
巨躯が仰け反り、ベッドが悲鳴を上げる。金属が軋み、淫液が打ち寄せる。まるで機械の波濤が肉の砂浜に押し寄せるようだ。
快楽の極まりにおける吐精を促す膣の動きは、機械仕掛けの面目躍如というべきか。だがそれは、ひどく生物的な本能を感じさせるほど淫らだった。
それでもマナは射精を先送りにし、機械仕掛けの腑をきつく貪る。縋り付く膣肉を無理矢理引き剥がして扱き抜く。その暴虐に、T4-2の全身が身の奥底から湧き出るような、重く深い痙攣に包まれた。
「お゛ぉ゛お゛――ッ!? いまっ、オ゛ッ、達して、る゛っ、ので、ふぅっ、ぉうぅ……動かないで……っ、くだ、さ……」
激しくかぶりを振り、狂ったように引き攣れる軀。T4-2の性癖をよく知らない者には、故障しているようにしか見えないだろう。いや、ある意味、狂ってはいる。信念のために自らを改造し、人間と交わることを選択する機械がいるだろうか。この男以外にいて欲しくはない。この世の治安のため――そして自分の情緒の均衡のために。
「いいくせに」
マナは吐息を荒げながら、T4-2の顔の横に腕をつき、腰をさらに叩きつけた。射精だけを追い求める、本能だけの動きだった。雌を孕ませるためだけの、獣の交尾。
「はー……ッ、はッ、あ゛ッ、そっ、いっ、ですッ、ん゛ぉ゛ッ、お゛ぉ〜……」
その繊細かつ緻密に組み上げられた内臓が、悦びに蠢く。先端が受容器の入り口に差し掛かり、固く閉ざされた奥津城の感触に悦びを覚える。許されるのなら――たとえ許されなくとも――すぐにでも射精したくなるほどの心地よさ。
世界が静止しているかのようだ。波の音も聞こえない。ただ二人の体だけが、共鳴して奥で幽かに震えている。
いまだ最初の絶頂の余韻冷めやらぬ軀に、快楽を刻みつけ、埋め込む。一突きごとに甘く低い呻吟が漏れ、双眸は死にかけた星のように明滅し、鋼鉄の身が優美なアーチを描く。快感を全身で表すために設計されたかのような錯覚を覚える。
肉粘膜のように柔らかく弾力に飛んだ窄まりが、きゅうんと一際切なく収縮した直後「おぉッ、ア゛……ッ、きて、ますっ、奥にっ、ああぁ……っ」T4-2の全身が戦慄いて、下肢がぴんと伸びる。盛大に喉を晒して頭を仰け反らせ、鋼鉄は絶頂を極めた。
マナは眉を顰め、流れに身を任せて堪えを開放する。抱え込むように締め付けられた怒張の根元が脈打ち、雄膣にしかと種を流し込んでゆく。
「ん゛んっ、んー……っ、精液、たっぷり注いで……あぁ、あなたを、思い出したい……っ」
奥がぱくぱく開閉して精汁を飲み干してゆく。砂漠を彷徨って渇いた喉が水を欲するように。ただひたすらな“渇望”の儀式だった。
T4-2は感じ入るように首をゆるく振る。瞳はゆっくり明滅しながらどこか遠くを見ている。
「一日寝てたくらいで忘れられちゃあ困る」
マナは放出の勢いに乗せて腰をより深く突き上げる。鋼の関門に己を刻印するかのように。途端にぢゅっ、という音と共にマナの腰がしとどに濡れる。関門の奥深くより湧き出す本流がマナを押し返すように溢れる。
「んぎっ、ひ――ッお゛……? ぉッほ、んぉお??」どこか呆けた声を上げながら、T4-2の腰がびくびくと痙攣する。マナと深く繋がり合った場所から、ばしゃばしゃと噴き出す液体。
「なにこれおしっこ?」そうでないことくらい、マナにも分かっている。だからこそ、行為はやめない。寧ろ冷たく見下ろして、再び己を奮い立たせるため、いや増しに重たく穿つ。
軀をびくびくと震わせながらT4-2は激しく頭を振る。羞恥からか、その視線がマナに向けられることはない。だが、視線の逃避とは裏腹に、膣はひたむきな誠実さでマナを迎え入れ続ける。
「ん゛ぉっ、ちがっ……ます、生理現象ではなく、……ぁ、あ……」
「じゃあなに」そう詰問しながら奥の窄まりを責める。飛沫がさらに勢いを増す。
「ふぅっ……これは、ぁッ、ふ……自律的冷却反応で……」
「周りびしょびしょにしてるんだから同じようなものでしょ」
「は……っ、はー、ッ、備品を……っ、汚して……ッ、私は、嗚呼ッ、悪いことを……悪い……でもっ、止められな……ンん゛ッッ!!」シーツにしがみ付いて腰から上をのたうちまわしT4-2は暴力的な快感に身悶える。乱れた声は胸を押し上げ、鋼鉄の中を反響する。「あ゛ッ、うあっ……ッ、お゛、やめて、もう、腰、動かすのやめ゛ッ、お゛ほッ、ぉ、ん゛ぉッ」
ばちばちとT4-2の目が明滅し、その身が強張る。
明らかにマナが与えた刺激によるものではなく、美徳回路を裏切る行いをしてしまったことによる絶頂だった。許せない。
そしてもっと許せないのはそれでも尚、不良ロボットの膣が媚びるようにマナの陰茎を揉みしだき悪事の片棒を担がせようとしてくることだ!
「そんなやらしい声で言っても説得力ないね」
マナは体重すべてをかけて矛で洪水を掻き回す。膣壁から愛液をこそげ落とすように肉茎を擦り付けながら奥を穿つ。肉茎の先端が最奥に当たるたびに、T4-2は喉も胸も反らして獣じみた歓喜の声を上げる。
「はっ、はぁっ、おねが……、っん、内部部品、がっ、灼けて……奥、ぐちゃぐちゃにしない、で、くださ……いッ」濡れた眼光が懇願にぼやける。「おおっ、お、ほ……っ、あっ、あぁ〜……」
肉感的な脚が震え、びしょりと派手な飛沫があがる。冷却液が奔流するたび、マナの嗜虐心が際限なく煽られる。
「こんなに濡らして。後でちゃんと掃除しなさいよ」その叱責すら、悦びに揺れ、熱を孕んでいることをマナ自身も気づかない。
肉感的に躍る堅い尻を、手の甲で軽く打ち据える。
「あ゛ぅっ……!? お゛ッ!? お゛、出る……っっ」
まるで磁力で心臓を鷲掴みにされたかのようにびくりと一つ大きく震える軀。秘部はマナの眼前できゅうと締まり、そしてだらしなく弛緩した。溜息をつくように吐き出される雫。
一瞬だけ、室内にただ水音だけが残った。
打擲の悦びに強縮して仰け反った軀がシーツに沈む。目の奥で火花が散る。回路が焼け落ちてゆく。何度かの明滅の後、眼は暗転し、沈黙と痙攣だけが残る。
「……っ、ぉ゛、お……ぅ」
低い声が一層低く、血泡を噴くような湿った音が混じる。喉の奥がぶくりと鳴る。まるで本当に血肉によって組成された物体のように。その奇妙な錯覚がマナをより昂らせる。
「壊れちゃったかな」マナは非情にT4-2の頬をぺちぺち叩く。「修理前より悪くなったみたい」外的な損傷よりも、こうして頭の中を壊す方が数段難業だ。それ故に背徳的な万能感が浮かんでくる。
ぺちり、ともう一度尻を叩くと、はぁう、という甘い声とともにぼんやりと光が戻る。吐息を模した蠢きさえも甘ったるい。金属結晶が蜜腺に置き換わってしまったかのよう。シーツを掴んでいた隻腕が緩んで、代わりに何かに縋りつこうとしている。おそらく、マナ自身に。
「イったの」
努めて冷淡に聞く。本当ならばもっと強く詰って虐めて、憤りを捩じ込んで立て続けに絶頂を叩き込んでやりたいところだが、誰に気兼ねする必要もない長い夜には、いつもと違う遊び方を試したくなる。
「ふぅ……はい……」
余韻に小刻みに震え、頭を力無く垂らしたT4-2は素直に肯定する。
「打ち据えられて、あぁ、被虐の愉悦が満ちて……」
未だ鋼鉄の蜜口からはとろとろと甘えた汁が垂れてきている。
「悪いことを止められない奴にはお仕置きが必要だよね」
マナはT4-2の顎をぐっと掴み、射抜くように目を覗き込む。
「は……っ! お仕置き……ぃ」きゅうん、と媚びがまろやかに深くなり、奥からしとどに湧き出る蜜。「ええ、ええ……していただかなくては……この躾のなっていない悪い機械に。嗚呼、マナさん、どうか」やめて、なのか、さっさとやれ、なのか、マナにはわからないし分かる必要もない。ただ思うがまま、腕を振るうだけである。
「変態機械が」
「ン゛っおぉッッ!?」
それこそ軽く掌を当てただけなのに、強く叩かれたかのように強張る軀。握りしめられたシーツに一瞬で皺がよる。その紋様たるや、まるで霹靂。
マナはわざと大きなため息をつく。
「ちょっと触っただけで。どうかしてる」
「いいえ、触ったのではなく、叩い゛ッ」わざと音を立てて尻を叩く。「ぉお゛お゛おーッ!」炸裂する濁声。ぎゅうと寄る肩甲骨。息継ぎするように持ち上がる頭。一際激しく発光する目。内腿を伝い落ちゆく粘液。
「そう言い張るなら本当に本気で叩くから」
じわりと磁力を滲ませた手でT4-2の尻に触れる。次に叩くのはここだと知らしめるために。
「あっ、そんなっ、だめですっ、あなたの本気では、回路、飛んで……」手が痛むのも構わず、マナは欲望と激昂のままに合金の尻に平手打ちを食らわせる。「ぉ゛お゛お゛、もっと……ぉ」脚がぴんと伸びて、快感の証が迸る。
愉悦に浮ついた尻を平手で打つたび、再びの絶頂に身が引き締まる。じわりと湧いた快楽の証がマナにまといつく。壊れたおもちゃのように、ばらばらと痙攣する軀。
「喜んでちゃあ、お仕置きにならないでしょう」
喜ばせるためにやっているのではない。いや、それもあるにはあるが、少しばかりの八つ当たりだ。今日の騒乱で傍にいなかったくせに、負った怪我には繰り言を放つという執着の深さに。
「ひ……ぅっ、あ゛っ、も、しわけ……ッ、ありま……せ、ぇ……ッッ」
達しすぎて、啜り泣くような声しか出なくなる。目の奥で火花が散り、ぼうっとした光だけが放たれる。
「あっ、はぁっ、ああ〜」
泣いているような声がマナの聴覚から脳髄、性感を擽る。
鋼鉄の上半身は震えて激甚な反応を呈するが、しかし下半身は主に身を預けるように緩まり、媚び始める。股関節が人間離れした柔軟さで大きく拓き、磔のごとく膝が寝台につく。しかし膣口は、味わいやすいよう上向いて、その姿勢たるや、獣というよりも蟲の類である。機能的に交尾をし、効率的に子孫を残すための設計。
「おねが……っ、します、もっと、奥……」もはやその中枢回路に理性というものの残滓は一欠片すらなさそうだった。「お腹……奥、すごく、切なくて……欲しくて……どうか」
この粗雑機械は、懇願するよりも命じられる方を好むとマナは嫌と言うほど知っている。
「欲しいなら奥開きなよ。ほら、入口開けろ、中に直接出してやるから。そうされたいんでしょう」
本能的な昂揚に唸りをあげる磁力。激情のまま、ねじ込んだ陽根で鋼鉄の腑の奥を砲弾のように撃ち抜く。
磁力を纏わせた怒張は金属の道を押し広げ、難なく受容器の入り口にぶつかる。関をぶち抜いた瞬間、膣道の奥の奥、秘められた場所に到達する。噴き出す熱気。弾ける軀。
「ぎぉ゛ッ――お゛――?? っ!?」
ひび割れた、壊れかけの悲鳴が室内に反響する。熱の波がマナを襲う。
「ああ、なにこれ……」自分でやっておいて、マナ自身も混乱する。「入るんだ、こんなところ……」
根元が食いちぎられんほどに引き締められ、膣道はマナを執着たっぷりに揉み込む。笠は奥の間の関門に嵌まり込み、先端はしっかりと奥津城の天を衝いていた。
